土地改良区/消費税の納税義務判定や税額計算は法人全体で!

 

土地改良区は、規約及び会計細則の定めにより、一般会計の他に、特別会計を設定することができますが、消費税の納税義務の判定や、納税額の計算は会計単位で行うことはできず、法人全体で行います。

以下の記事でも解説しています。

 

質問を受けたことがあるので、整理しておきます。

 

1.消費税の納税義務の判定

土地改良区(土地改良区連合、土地改良事業団体連合会も含む)は、法人に該当しますので、消費税の納税義務があります。

ただし、基準期間(2事業年度前)の課税売上高が1,000万円以下である場合は、別段の定めがある場合を除き、消費税の納税義務が免除されています。

この基準期間の課税売上高が1,000万円以下であるかどうかは、一般会計及び全ての特別会計を含めた土地改良区全体の会計で判断します。

一般会計だけ、特別会計だけで納税義務を判断することはできません。

課税売上高は、土地改良区の場合、他目的使用料(土地の貸付けに該当するものは除く)、催促手数料、小水力発電や太陽光発電の売電収入などが該当します。

特別会計で小水力発電事業を開始した場合は、法人全体の課税売上高が1,000万を超え、納税義務が発生する土地改良区が多いのではないかと思います。

例えば、2017年度中に売電事業を開始し、初めて課税売上高が1,000万円を超えた場合は、2019年度は消費税の納税義務が発生します。

 

 

2.消費税の簡易課税制度の適用可否の判定

消費税法では、事務力が乏しい中小事業者のために、消費税額の計算が容易な簡易課税制度を選択することが認められています。

簡易課税制度は、原則として基準期間(2事業年度前)の課税売上高が5,000万円以下である場合で、事前に簡易課税制度選択届出書を提出している場合に適用されますが、基準期間の課税売上高が5,000万円以下であるかどうかの判定についても、一般会計及び全ての特別会計を含めた土地改良区全体の会計で判断します。

例えば、それまで簡易課税制度で消費税を計算していた土地改良区が、2017年度中に売電事業を開始したことなどにより課税売上高が5,000万円を超えた場合には、2019年度は簡易課税制度による消費税の計算ではなく、原則課税による消費税の計算が必要です。(課税仕入れや特定収入も含めた複雑な計算が必要になります。)

 

3.消費税の納税額の計算

消費税の納税額の計算は、一般会計及び全ての特別会計を含めた法人全体の各取引を集計して納税額を計算します。

特定の一つの会計区分の取引だけで納税額を計算したり、全体から特定の会計区分を除いて納税額を計算することはできません。

あくまで土地改良区の法人全体としての消費税の納税額を計算します。

 

4.各会計区分の消費税の負担額の計算

消費税の納税義務があり、複数の会計区分がある土地改良区では、全体として計算した消費税額を各会計区分にいくら負担させるかは実務上の悩みどころですが、法人の任意の判断で処理することになります。(課税側としては、法人全体での税額を納めてくれれば良いだけなので)

各会計区分の負担額の計算は、例えば、

  • 各会計区分の課税売上高の割合
  • 各会計区分の職員の割合
  • 一般会計が全額負担
  • 特定の特別会計が全額負担

などで処理することが考えられますが、一度選択した方法をむやみに変えず、継続して適用すべきです。

 

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