土地改良区/消費税の課税収入に該当する取引にはどのようなものがあるの?
土地改良区の収入のうち、消費税の課税売上に該当する収入にはどのようなものがあるでしょうか。
土地改良区が行う取引でも、対価を得て行われる資産の譲渡、貸付け、役務の提供に該当する取引は、非課税とされる取引を除き、課税売上に該当します。
1.土地改良区にも課税収入に該当する取引があります!
(1)土地改良区の「課税」収入の例
対価を得て行われる資産の譲渡、貸付け、役務の提供には消費税が課税されますが、土地改良区では、例えば次のような取引が課税収入に該当します。
- 都道府県や市町村から受ける取水施設の管理などの業務委託料収入
- 農地転用のための調査費収入、他目的使用のための調査費収入
- 未収賦課金の督促手数料収入
- 他目的使用料収入(土地(地上権含む)の貸付に該当するものは除く)
- 小水力発電などによる売電収入
- 車両などの固定資産売却収入
- 自動販売機を設置することにより入金される自動販売機手数料
- その他対価を得て行う資産の譲渡、貸付け、役務の提供による収入(非課税とされるものを除く)
(2)土地改良区の「非課税」収入の例
対価を得て行われる資産の譲渡、貸付け、役務の提供であっても、消費税法上で「非課税」とされているものは除かれています。
土地改良区では、例えば次のような取引が非課税収入に該当します。
- 他目的使用料…土地改良施設用地の貸付けの場合→土地の貸付けのため非課税(※)
- 預金利息…預金利息→利子を対価とする金銭の貸付けのため非課税
- 特定資産利子収入…預金利息や公債の利子など→同上
- 有価証券売却収入…公債などの満期償還前譲渡収入→有価証券の譲渡のため非課税
- その他、消費税法上で非課税とされているもの
(※)土地の貸付けは非課税ですが、貸付期間が1か月未満の土地の貸付けや、施設として貸し付ける場合は、非課税取引には該当しませんので注意しましょう。
(3)土地改良区の「不課税」収入の例
そもそも対価を得て行われる資産の譲渡、貸付け、役務の提供に該当しない「不課税」取引もあります。
土地改良区では、例えば次のような取引が不課税収入に該当します。
- 経常賦課金…団体運営の会費であり、対価性がない
- 市町村等からの補助金や助成金…対価性がない
- 適正化事業交付金…対価性がない
- その他、対価を得て行われる資産の譲渡、貸付け、役務の提供に該当しないもの
世の中の取引の大部分は、対価を得て行われる資産の譲渡、貸付け、役務の提供である「課税」収入に該当にしますが、土地改良区が受ける収入については、このように、「不課税」や「非課税」となる収入も多くあります。
(「不課税」と「非課税」は、消費税が課されないという点では共通していますが、納税額の計算上、明確に分けて考える必要があります。話が複雑になるため、今回は割愛します。)
2.勘定科目だけでは判断せず、あくまで取引の実態で判断!
消費税法上の課税、非課税、不課税といった判定は、勘定科目で判断せず、取引の実態で判断します。
例えば、他目的使用料収入の場合、土地(地上権含む)を貸付けたものなのか、土地に伴って水路施設を貸し付けたものなのかにより、非課税か、課税かが異なります。
また、受益者から賦課金という名目でお金を受け入れていたとしても、その賦課金に明確な対価性があれば、不課税ではなく、課税に該当する可能性もあるでしょう。
勘定科目だけで安易に判断せず、取引の実態をみて、消費税法上のどの取引に該当するのか判断することが必要です。
<編集後記>
土地改良区の事業内容は、一般企業には馴染みのないものばかりであるため、正直なところ、税理士から見てもよくわからないことが多いです。
取引内容自体もそうですが、何より消費税の取扱いに悩むことが多いです。
それでも、顧問先の土地改良区の会計担当の方が、土地改良区の事業内容や取引の内容をとても一生懸命教えてくださるので、少しずつ理解できてきた経緯があります。
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