土地改良区/令和4年度から原則として複式簿記による会計処理が義務化されます

田舎館村

 

土地改良区の方は既にご存知と思いますが、土地改良法の一部を改正する法律(平成30年法律第43号)が平成30年6月8日に公布されました。

今回の改正は土地改良区の組合員資格に関することや、土地改良区の体制の改善に関することが主な内容ですが、その中で会計に関しては新たに以下の3点が求められています。

  • 原則として、「貸借対照表」の作成を義務化
  • 決算関係書類の都道府県知事等への提出を義務化
  • 決算関係書類の公表を義務化

 

貸借対照表を作成するためには、複式簿記により会計処理を行うことが必要です。

厳密に言うと、複式簿記で処理を行わなくても、期末時点に財産と債務の棚卸しをすることによって当該時点の貸借対照表を作成することは可能です(これを棚卸法といい、対して複式簿記により貸借対照表を作成する方法を誘導法といいます)。

ただし、参考資料「土地改良法の改正について(土地改良区の在り方)(農林水産省 農村振興局)平成30年6月」には、土地改良区に複式簿記が普及していないことが課題として挙げられていることから、立法趣旨としては複式簿記により帳簿から貸借対照表を作成することを求めているのだと理解しています。

 

今回の土地改良法の一部を改正する法律の施行日は平成31年4月1日となっていますが、貸借対照表の作成についてのみ、令和4事業年度からとなっています。

 

なお、貸借対照表の作成は、原則として全ての土地改良区が対象となるようですが、土地改良施設を管理していない土地改良区については、対象外(省令により別途規定)となるようです。

 

令和4年度というと、まだ先のことのように感じるかもしれませんが、会計細則を中心とした規程類の見直し、特別会計の整理、会計ソフトの選定及び試行運用、勘定科目体型の検討、資産や負債の評価を中心とした開始貸借対照表の作成など、準備すべきことを考えると、そこまで余裕はありません

 

土地改良区の複式簿記への移行について、メリットやデメリットで判断する時代はもう終わりました。

 

実際に土地改良区へ複式簿記移行の支援をした経験から間違いなく言えるのは、ぎりぎりになって慌てて準備するよりも、できるだけ長い準備期間を設けて、余裕を持って準備したほうが良いです。

 

どうせ複式簿記へ移行しなくてはならないのですから、余裕をもって準備しましょう!

 

<参考>「土地改良法の改正について(土地改良区の在り方)」(PDF : 797KB)

https://www.maff.go.jp/j/nousin/kikaku/attach/pdf/lowoflandimprovement-8.pdf

 

<参考>第196回国会(平成30年 常会)提出法律案 ※平成30年3月9日の部分です。

http://www.maff.go.jp/j/law/bill/196houritsu/index.html

 

 

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