年末調整に向けて −前職給与は考慮しましたか?−
年末調整真っ只中の時期ですね。
平成29年4月の新規採用者や、平成29年中に中途採用した職員の年末調整については、平成29年1月分から採用前までの給与を含めて年末調整が必要となる場合があります。(ほとんどの場合は、必要になると思われます。)
実務で出てきたので、記載しておきます。
前職分の給与も含めて年末調整が必要な場合
例えば、
- 平成29年4月の新卒採用者
- 平成29年の中途採用者
といった、年の途中から再就職した職員で、前の職場へ扶養控除申告書を提出して給与をもらっていた職員については、前職分の給与を含めて年末調整をする必要があります。
新卒採用者については、採用前にアルバイトをしていたかもしれませんし、中途採用者も前の職場で給与をもらっていたかもしれません。
年末調整の計算は、平成29年1月から平成29年12月までの期間が対象となることから、このように年の途中から再就職した職員については、再就職前に給与をもらっていたかどうかを確認する必要があります。
なお、前の職場に扶養控除申告書を提出していたかどうかは、退職時に前の職場から交付される源泉徴収票の「乙欄」の「○」印の有無で確認できます。(「○」印がなければ扶養控除申告書を提出していたということです。)
前職分の給与を年末調整に含める必要がない場合
前職の源泉徴収票を確認した結果、前職の職場に扶養控除申告書を提出していないことが判明した場合(源泉徴収票の乙欄に「○」印がある場合)には、前職の給与は年末調整には含めません。
前職の源泉徴収票は本人へ返却し、本人に確定申告してもらうことになります。
前職分の給与等の確認方法
前職分の給与等の確認は、前の職場から交付される源泉徴収票で確認します。
また、前の職場に扶養控除申告書を提出していたかどうかも、前述した通り、前職の源泉徴収票で確認します。
前職分の給与や徴収税額が確認できないとき
前職分の給与所得があることが明らかであっても、源泉徴収票の提出がされない等の理由により、その前職分の給与や徴収税額、社会保険料の額が確認できないときは、その職員については年末調整はできません。
前の職場から源泉徴収票の再交付を受けてもらった上で年末調整をするか、該当する職員については年末調整をせずに、確定申告をしてもらうことになります。
前職分の源泉徴収票を年末調整へ反映させる
年の途中から再就職した職員で、前の職場へ扶養控除申告書を提出して給与をもらっていた職員については、前職の源泉徴収票を確認し、前職の給与の支払金額、前職の源泉徴収税額、前職の社会保険料等の金額を、自社の給与の支払金額、自社が源泉徴収した税額、自社が天引きした社会保険料等の金額にそれぞれ加算して年末調整を行います。
(給与計算ソフトを利用している場合は、通常、前職の給与の支払金額等の入力欄があるはずです。)
源泉徴収票への記載方法
前職の給与を含めて年末調整した場合は、年末調整後に発行する源泉徴収票の摘要欄に、以下の内容を記載します。(すべて前職の源泉徴収票で確認が可能です。)
- 前職の給与支払者の住所又は所在地
- 前職の給与支払者の氏名又は名称
- 前職の退職年月日
- 前職の給与等の金額
- 前職の源泉徴収税額
- 前職の社会保険料等の金額
大抵の法人は給与計算ソフトを利用していると思いますので、上記情報を入力さえすれば源泉徴収票の摘要欄に表示されるはずです。
以上、前職がある職員の年末調整の注意点を記載しました。
前職がある職員からは必ず前職の源泉徴収票を入手し、年末調整の方法を確認するようにしましょう!