年末調整に向けて−扶養控除申告書の徴収モレに注意!−

 

年末調整の時期に入ってきました。職員から扶養控除申告書はもれなく徴収できていますか?

学校法人や社会福祉法人などの公益法人は税務調査で源泉所得税はほぼ確実にチェックされます。

扶養控除申告書についての注意点を整理しました。年末調整にあたって改めてチェックしておきましょう。

 

扶養控除申告書の提出有無で源泉徴収税額が変わってしまう

給与を支払う場合の所得税の源泉徴収税額は、以下の通り扶養控除申告書の提出の有無により異なります。

  • 扶養控除申告書の提出がある場合…そこからもらう給与は主たる給与として安い税率(甲欄)で源泉所得税額を計算
  • 扶養控除申告書の提出がない場合…高い税率(乙欄)で源泉所得税額を計算

正職員で、給与の支払いを受ける先が1箇所の場合は、通常はその給与は主たる給与になりますので、扶養控除申告書を給与支払者へ提出し、甲欄により源泉徴収がされているはずです。

ただし、甲欄の税額で所得税の源泉徴収を行う職員については、当該職員から必ず扶養控除申告書の提出を受けることが必要です。

扶養控除申告書の提出がない場合は、たとえ支払う給与が主たる給与であったとしても、乙欄により所得税を源泉徴収をしなければなりません

 

扶養控除申告書の提出を受けずに甲欄で計算していたことが発覚した場合

仮に扶養控除申告書の提出を受けずに、甲欄で源泉所得税額を計算していたことが税務調査により発覚した場合は、本来は乙欄により源泉徴収すべきであったということになってしまうため、甲欄の税額と乙欄の税額との差額を徴収されてしまいます。また、期間に応じた延滞税も課されてしまいます。

こうなってしまうと、後で本人から差額を徴収することも難しいため、結局は法人が負担することになってしまうことが多いです。

 

対策

年末調整の計算時に、甲欄の計算対象職員の扶養控除申告書の有無を確認することが必要です。

今年の例では、平成29年分の扶養控除申告書の有無です。(この時期に配り始める平成30年分ではありません。)

特に、中途採用の職員については扶養控除申告書の徴収漏れが多い傾向があります。(扶養控除申告書を配布する年末調整時に所属していないため、渡し忘れが多い。)

さらに、学校法人や社会福祉法人などの公益法人の税務調査では、法人税や消費税にあまり馴染みがない分、源泉所得税はほぼ確実にチェックされます

扶養控除申告書の有無を確認するだけですので、無駄にペナルティを課されないように、必ずチェックするようにしましょう。

 

もし扶養控除申告書の徴収漏れが発覚した場合は、扶養控除申告書の様式を国税庁のHPからダウンロードし(年の間違いに注意)、対象となる職員に早急に記載してもらうようにしましょう。