現金出納帳と預金出納帳の関係

※白井市総合公園

 

交通系ICカードなどの普及で現金を持つことは減ってきていますが、それでも現金で支払うことが完全になくなることはまだないでしょう。

会計処理を行うにあたって、現金の入出金や預金の入出金を管理する出納帳は大変重要な帳簿です。

出納帳はお金の入金と出金を管理する帳簿で、内容は複式簿記を知らなくても作成できるシンプルな帳簿ですが、資金移動の部分でよく間違いを見かけます。

出納帳の基本的なことについて整理してみましたので、参考になれば幸いです。

 

1.現金出納帳と預金出納帳

(1)出納帳とは

出納帳(すいとうちょう)とは、お金の入金、出金、残高を管理する帳簿のことを言います。

出納帳には、大きく分けて、現金出納帳と預金出納帳があります。

  • 現金出納帳・・・手許の現金の出し入れを管理する帳簿
  • 預金出納帳・・・銀行等の預金の出し入れを管理する帳簿

どちらの帳簿もお金の入金、出金といったお金の出し入れと、お金の残高を管理するものであり、内容は一緒です。

 

<現金出納帳のイメージ>

<預金出納帳のイメージ ※現金出納帳と同様>

 

(2)出納帳はお金の種類、通帳の種類の分だけ準備する

一般的に、出納帳は管理するお金の種類や通帳の種類の分だけ準備します。

  • 経費は現金で支払うことがある
  • 事業用の通帳はA口座、B口座、C口座の3口座持っている

 

このような場合は、出納帳としては、4種類準備します。

  • 現金出納帳
  • 預金出納帳(A口座)
  • 預金出納帳(B口座)
  • 預金出納帳(C口座)

 

学校法人や社会福祉法人など、現金の厳密な管理を求められているような法人では、現金出納帳は1種類ではなく、小口現金用の出納帳と、利用料等入金を管理する出納帳の最低でも2種類は設けるべきでしょう。(詳細は以下のページで紹介しています)

 

(3)会計ソフトの出納帳機能を利用する

実務では会計処理は会計ソフトを使う場合が多く、会計ソフトには基本的に出納帳の機能が備わっているはずですので、ソフトの初期設定で、「現金」や「預金」の勘定科目に管理する出納帳の種類分を補助科目として設定するなどして対応します。

個人事業主や規模が小さい会社などでは上述の対応で十分ですが、社会福祉法人や学校法人などでは、現金については、普段は市販の出納帳ノートに手書きで記録し、後で会計ソフトに入力するケースもあります。

出納帳ノートは、以下のようなものです。

会計ソフトで全てやってしまっても良いのですが、手書きの出納帳ノートの場合、パソコンを開かずにすぐにノートを開いて書き込める、すぐに確認できるなどのメリットがあります。(個人的には正しく処理さえできていればやりやすい方法で良いと思います。)

 

2.資金移動で一方の出納帳が動いたら必ずもう一方の出納帳も動く

例えば、事業用のA口座から小口現金の支払い用として5万円を引き出してきた場合、それぞれの出納帳は次のようになります。

  • A口座の出納帳・・・5万円の出金
  • 現金出納帳・・・5万円の入金

 

<預金出納帳(A口座)のイメージ>

<現金出納帳のイメージ>

 

また、例えば事業用のA口座から同じ事業用のB口座にお金を100万円移動した場合は、次のようになります。

  • A口座の出納帳・・・100万円の出金
  • B口座の出納帳・・・100万円の入金

 

<A口座の預金出納帳のイメージ>

<B口座の預金出納帳のイメージ>

 

このように、資金移動により一方の出納帳が動くと、必ずもう一方の出納帳も動きます

特に預金出納帳と現金出納帳間の資金移動があった場合、現金出納帳側にお金の出し入れが反映されていないなど、間違っていることがありますので、注意しましょう。(特に手書きの出納帳の場合は要注意です。帳簿残高と実際残高をきっちり合わせている場合は、このような間違いがあると残高が一致しないので気がつくはずですが。)

預金出納帳は預金通帳という記録があるため基本的に間違えることはありませんが、現金の場合は、取引の記録が残りにくいため、間違っていても気が付きにくいです。

なお、会計ソフトの出納帳は、資金移動として一方の出納帳を動かすと、自動的にもう一方の出納帳にも反映されるものが多いですが、まれに反映されないソフトもあります。

資金移動があった場合には、移動元、移動先それぞれの出納帳に入出金が反映されているか、確認するようにしましょう。

 

3.会計は現金預金が一致しているかが最も大切

貸借対照表の現金預金の残高は実際の現金預金の残高と一致していますか?

私が関与先のお客様に訪問すると真っ先に確認するのは現金預金の帳簿残高と実際残高が一致しているかどうかです。

現金預金の残高が一致しているかどうかを確認したあとに、科目の修正などがないかチェックしていきます。

たとえ科目が間違っていても、現金預金の残高さえ合っていればなんとかなるものですが、現金預金の残高が合っていないと、第三者が見たときに、

  • 取引の記録が漏れているのではないか?
  • 意図的に取引の記録を脱漏しているのではないか?
  • そもそもこの事業者は信用できるのか?

などの疑いを持たれることになります。

出納帳を正しくつけてさえいれば、現金預金の残高は正しく表示されますし、実際、期中の取引の9割以上は出納帳だけで片がつきます。

 

出納帳は大変重要な帳簿です。

出納帳の初期の設計をしっかり行い、正しく記帳していきましょう!