社会福祉法人/利用者以外から受け入れる給食費の処理

 

社会福祉法人が利用者以外から受け入れる給食費の処理について解説します。

 

利用者以外から給食費を受け入れた場合(入金の処理)

処理の概要

職員等患者・利用者以外に提供した食事に対する収入は、利用者から受け入れる給食費と区別し、利用者等外給食費収益(利用者等外給食費収入)という科目を使って処理します。

例えば、職員、保護者、外部監査員、ボランティア、実習生などから受け入れる場合が該当します。

 

具体的な会計処理

例:職員から給食費¥300を受け入れた。

資金収支仕訳 事業活動仕訳
¥300 (支払資金)/(利用者等外給食費収入) ¥300 (現金預金)/(利用者等外給食費収益)

 

 

利用者等外給食費支出の処理(出金の処理)

処理の概要

職員、来訪者等利用者以外に提供した食材及び食品の支出分については、事業費の給食費支出ではなく、利用者等外給食費(利用者等外給食費支出)という勘定科目を使って処理します。

仕入れ業者によっては、明細を利用者分と利用者以外の分を分けてくれていることもありますが、食材や食品を仕入れる場合は、通常、利用者分と利用者以外の分をまとめて仕入れることになるため、利用者以外の分を把握することは困難だと思われます。

その場合は、収入した額と同額を支出したものとみなし、利用者等外給食費収益(利用者等外給食費収入)と同額を給食費(給食費支出)から利用者等外給食費(利用者等外給食費支出)に振り替える処理を行います。(一般的に、受け入れる給食費に利益は載せていないはずなので、同額でも大きな差異にはならないという考えです。)

 

具体的な会計処理

利用者以外の給食費の支出額が明らかな場合

例:給食仕入れ業者へ給食食材費¥1,300を支払った。請求書の明細は、利用者分¥1,000、利用者以外分¥300となっている。

資金収支仕訳 事業活動仕訳
¥1,000 (給食費支出)/(支払資金) ¥1,000 (給食費)/(現金預金)
¥300 (利用者等外給食費支出)/(支払資金) ¥300 (利用者等外給食費)/(現金預金)

 

利用者以外の給食費の支出額が不明である場合

例:職員から給食費¥300を受け入れたため、同額を給食費から利用者等外給食費へ振り替える。

資金収支仕訳 事業活動仕訳
▲¥300 (給食費支出)/(支払資金) ▲¥300 (給食費)/(資金諸口)※
¥300 (利用者等外給食費支出)/(支払資金) ¥300 (利用者等外給食費)/(資金諸口)※

※事業活動仕訳をベースに起票する会計ソフトによっては、単純に(利用者等外給食費)/(給食費)と仕訳を起票すると、資金収支計算書に当該仕訳が反映されない場合があるため、資金収支計算書にも同様の仕訳を反映させるために相手勘定を資金科目にする必要があります。

 

この方法で処理する場合は、利用者等外給食費収益(利用者等外給食費収入)と利用者等外給食費(利用者等外給食費支出)の金額は同額になります。

利用者等外給食費(利用者等外給食費支出)の振替処理は、利用者等外給食費収益(利用者等外給食費収入)の発生の都度行うパターン、決算時にまとめて行うパターンが考えられます。

 

利用者等外給食費収益(利用者等外給食費収入)は正しく処理されていても、利用者等外給食費(利用者等外給食費支出)の振替処理がされていない場合があるため、注意しましょう。

 

【参考】

  • 社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の留意事項について

 

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