社会福祉法人/保育園から他拠点等への資金の貸付けは要注意

 

保育園の運営費用として市町村から支払いを受ける委託費は、その使途範囲が他の社会福祉施設に比べ厳密に定められています。

委託費として受け入れた保育園の資金を外部へ貸し付けることはもちろんのこと、同一法人内の他の社会福祉施設や、本部に対する資金の貸し付けについても例外ではありません。

 

保育園からの資金の貸し付けの制限

1.同一法人内への貸し付け

同一法人内への貸し付け、例えば、保育園から同一法人内への特別養護老人ホーム拠点区分への貸し付け、本部拠点区分への貸し付け、収益事業区分への資金の貸し付けは、経営上やむを得ない場合に、年度内精算を前提として貸し付けることが可能です。

つまり、一時的に貸し付けることは可能ですが、年度末までに必ず返済してもらわなくてはなりません。さらに具体的にいえば、保育園拠点の貸借対照表上の拠点区分間貸付金や、事業区分間貸付金の残高はゼロになっている必要があります。

保育園拠点区分では資金が余っており、保育園以外の拠点区分では資金が不足しているケースはよくありますが、保育園が資金を貸したままにならないように注意が必要です。

2.法人外部への貸し付け

法人外部への貸し付けは、一切認められていません。年度内精算を前提とした貸し付けも一切認められないため注意が必要です。

 

貸し付け先が保育園へ返済できない場合

上記1.の貸し付けで年度内に精算できない場合は、委託費の弾力運用の範囲内で、例えば、拠点区分間貸付金を拠点区分間繰入金に振り替えてしまうことが考えられます。(貸すのではなく、繰り入れてしまう。)

繰入可能額は、(1)当該保育園が委託費の弾力運用の条件をどこまで満たしているか、(2)貸付先、によって異なります。

 

保育園は比較的資金が残りやすい傾向がある一方、その使途が厳しく定められているため運用には十分注意しましょう。

 

【参考】

  • 子ども・子育て支援法附則第6条の規定による私立保育所に対する委託費の経理等について

 

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