収用等に係る課税の特例についての事前協議の手引及び様式が公表されています

函館山と函館港

 

国税庁のホームページで、「公共事業等の実施に伴う収用等に係る課税の特例についての事前協議の手引及び様式(平成30年7月)」が公表されており、税務署等との事前協議の方法や書類の様式などについて解説がされています。

https://www.nta.go.jp/about/organization/kantoshinetsu/topics/jizenkyogi/index.htm

 

学校法人や社会福祉法人が事業用地を拡張するため、近隣の土地を買収する場合などは、単純に買い主と売り主の間で不動産の売買契約を締結して土地を購入するよりも、「収用」の手続きを経ることで、売り主が税務上有利になる場合があります。

 

例えば、売り主が取得価額1,000万の土地を、5,000万円で学校法人に売却した場合、

 

  • 通常の売買契約の場合
    • 譲渡対価 5,000万円 △ 取得価額 1,000万円 = 譲渡所得 4,000万円 ←譲渡所得税の対象となる

 

  • 収用交換等の場合の譲渡所得等の特別控除の特例(措法 33 の4)の適用が可能な場合
    • 譲渡所得が発生しても、最大5,000万円まで控除できる
    • 譲渡対価 5,000万円 △ 取得価額 1,000万円 = 譲渡益 4,000万円
    • 譲渡益 4,000万円 △ 特別控除 4,000万円 = 譲渡所得 0円 ∴譲渡所得税なし

 

このように、この特例は売り主の譲渡所得税に大きなインパクトがありますが、この特例を受けるためには、事業施行者側(上記例では学校法人側)において、税務署等との事前協議、買い取りの申し出証明書の発行等、通常の売買よりも複雑な手続きを経る必要があります。

特に、買い取り等の事業が特例に該当するかどうか等を事前に税務署等と協議した上で買収に着手する必要がある点に注意が必要です。(税務署等と協議前に売買契約を締結したり、金銭のやり取りなどをしないように注意が必要)

 

この資料は、関東信越国税局管内(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、新潟県、長野県)の事業者が対象となっていますが、他の地域の事業者も十分に参考になり得ます。

 

近隣の土地を買収しようとしている学校法人や社会福祉法人、又はこれらの法人への土地を売却を考えられている方は、参考にしてみてはいかがでしょうか。