企業主導型保育/平成30年度決算検査報告における不当事項、意見表示事項、処置要求事項

 

令和元年11月、会計検査院が平成30年度決算検査報告を公表しました。

https://www.jbaudit.go.jp/report/new/summary30/index.html

この決算検査報告を見たところ、企業主導型保育事業についての不当事項(検査の結果、法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項)と、意見を表示し又は処置を要求した事項(関係大臣等に対して意見を表示し又は処置を要求した事項)が記載されていました。概要をご紹介します。

 

1.不当事項

富山県の事業会社が、企業主導型保育所の建物の整備にあたって虚偽の助成金の報告を行い、過大な助成金を受け取っていたとのことです。

https://www.jbaudit.go.jp/report/new/summary30/pdf/fy30_futo_0050.pdf

 

2.意見を表示し又は処置を要求した事項

(1)企業主導型保育施設の利用が低調となっている事態

会計検査院の抽出調査によると、約4割の企業主導型保育施設で平成30年9月時点の定員充足率及び平成29年10月から平成30年9月までの各月の定員充足率の平均が5割に満たない状況であったとのことです。

 

(2)企業主導型保育施設の開設が遅延して児童を受け入れられていないなどの事態

会計検査院が調査のために抽出した213施設のうち、17施設が整備途中の設計変更等により当初の予定通りに開設できていなかったとのことです。

上記の詳細は以下に記載があります。

https://www.jbaudit.go.jp/report/new/summary30/pdf/fy30_3436_030.pdf

 

3.今後の動向

今回の不当事項にあった補助金を不正受給するような企業主導型保育所は論外ですが、定員充足率が低いまま推移している企業主導型保育所は、そもそも保育所経営のノウハウがないままに安易な計画で開設したようなところが多いと想定され、今後ますます淘汰されていくと想定されます。

さらに今回の会計検査院の指摘を受け、所轄庁による指導監査の精度は今後ますます向上するでしょうし、監査項目もますます厳しくなっていくものと思われます。