学校法人/リース資産を売買処理により処理する場合の予算書作成上の注意点

学校法人は来年度予算の作成の時期ですね。
新年度に設備投資を予定している場合は、自己資金による一括購入の他に、借入金による購入、割賦購入、リースによる購入なども考えられます。
このうち、リースによる購入の場合、通常の賃貸借処理による方法と、売買処理による方法がありますが、予算書にどのように表現するのか、整理のために記載しておきます。(お客様の来年度予算の作成をしていて自分自身がど忘れしていたので。。。)
なお、どういった場合にどちらの処理を適用するかについての説明は、今回は割愛します。
1.通常の賃貸借処理による場合
通常の賃貸借処理の場合は、単純ですね。
「賃借料」等の科目に、来年度に支払う予定の金額(月額リース料×12ヶ月分)が予算として表示されます。
例:リース料の来年度支払予定額 ¥10,000/月×12ヶ月=¥120,000
<資金収支予算書の表示>
支出の部 | |
科 目 | 予 算 |
教育研究経費支出(管理経費支出) | xxx,xxx,xxx,xxx |
賃借料支出 | 120,000 |
<事業活動収支予算書の表示>
事業活動支出の部 | |
科 目 | 予 算 |
教育研究経費(管理経費) | xxx,xxx,xxx,xxx |
賃借料 | 120,000 |
2.売買処理による場合
次に、売買処理による場合の処理方法です。
今回はなるべくわかりやすくするために、利息相当額を含めて計算する簡便法を元に説明します。
例:翌年4月に教育研究用機器備品について、以下のリース契約を締結する
- 月額リース料 ¥100,000
- リース期間 5年(60ヶ月)
- リース料総額 ¥6,000,000(¥100,000×60ヶ月)
- 翌年度リース料支払予定額 ¥1,200,000(¥100,000×12ヶ月)
- 耐用年数 5年
<資金収支予算書の表示>
支出の部 | |
科 目 | 予 算 |
設備関係支出 | xxx,xxx,xxx,xxx |
教育研究用機器備品支出(※1) | 6,000,000 |
資金支出調整勘定 | △xxx,xxx,xxx |
期末未払金(※2) | △4,800,000 |
※1 リース料総額
※2 リース料総額のうち、翌年度末時点の未払リース料(¥6,000,000△¥1,200,000=¥4,800,000)
<事業活動収支予算書の表示>
事業活動支出の部 | |
科 目 | 予 算 |
教育研究経費(管理経費) | xxx,xxx,xxx |
減価償却費(※3) | 1,200,000 |
科 目 | 予 算 |
基本金組入額合計(※4) | △1,200,000 |
※3 ¥6,000,000÷耐用年数5年=¥1,200,000
※4 翌年度自己資金による支払予定額(リース料支払予定額 ¥100,000×12ヶ月)
3.売買処理による予算計上のポイント
通常の賃貸借取引による場合は、資金収支予算書の経費、事業活動収支予算書の経費に同額を計上するだけで済みますが、売買処理による場合、上記の通り資金収支計算書や、事業活動収支計算書の複数の箇所に影響してきます。影響するそれぞれの科目に予算の計上が必要です。
売買処理による場合の予算計上のポイントは、以下の通りです。
- 資金収支予算書
- 設備関係支出に固定資産としてリース料総額を計上
- 資金支出調整勘定に期末時点の未払い分を計上(※結果として設備関係支出との差額が資金の支出額となる)
- 事業活動収支予算書
- 教育研究経費(管理経費)に資産計上額のうち耐用年数に応じた減価償却費を計上
- リース料総額のうち、支払予定分のみを基本金に組み入れる(ただし、当該リース資産が旧資産の買い換え資産の場合は、処理は異なる)
特に、基本金の組入れについては注意が必要です。
リース対象資産の未払金相当額は基本金に組み入れることはできず、未組入額となります。未払金を支払った年度で、その支払相当額を基本金に組み入れることになります。(上記の例の場合、毎年 ¥1,200,000ずつ5年間で組み入れる)
以上、リース資産を売買処理により処理する場合の予算書作成上の注意点をまとめました。
予算書作成にあたって予算の計上もれがないように注意しましょう!
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