土地改良区/小水力発電施設の売電収入に係る国庫納付制度の運用について(会計検査院による処置要求及び意見表示)

 

先日、2018年9月4日付けの日経新聞の記事(検査院、小水力発電に改善要求)をご紹介しましたが、2018年9月3日付けで会計検査院のホームページに検査結果が公表されていました。

(監査法人の方から教えて頂いて私も知りました。。。)

 

以下のページです。

会計検査院法第34条の規定による処置要求並びに同法第36条の規定による処置要求及び意見表示
「農業農村整備事業等により整備した小水力発電施設の売電収入に係る国庫納付制度の運用について」
http://www.jbaudit.go.jp/pr/kensa/result/30/h300903.html

 

内容の構成は大きく以下の3点です。(3.のみ本文を載せておきます)

  1. 制度の概要
  2. 本院の検査結果
  3. 本院が求める是正改善の処置並びに要求する改善の処置及び表示する意見

ア 発電事業に係る運営状況を適切に把握して、必要に応じた指導ができる体制を整備し、土地改良区に対して、国庫納付対象額の算定を手引に従った会計処理により適切に行うよう指導すること(会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を求めるもの

イ 渇水準備引当金については、公営電気事業に準ずるなどして発電施設運営経費から除外するよう見直すこと(同法第36条の規定により改善の処置を要求するもの)

ウ 建設改良積立金については、農業農村整備事業等の制度の枠組みと整合しつつ、発電施設の更新等に要する資金需要を勘案した計画的な積立てがなされるよう、これを更新等事業費に充当する場合の取扱い、発電施設運営経費とする範囲等を見直すこと。そして、渇水準備引当金及び建設改良積立金の見直しにより過大に引き当て又は積み立てた金額が算出される場合は、当該算出額に係る国費相当額について、国庫納付を含めた国の負担の軽減に資する方策を講ずること(同法第36条の規定により意見を表示するもの)

 

今回の指摘を受けて、土地改良区の小水力発電の会計処理は次のような実務上の変更が発生すると想定しています。(あくまで勝手な想定です)

  • 土地改良区の小水力発電に関する会計処理の明確化(手引きや通知の見直し)
    • 固定資産(取得価額、減価償却、耐用年数などの)の会計処理の明確化
    • 計上可能な積立金の種類、見積方法、会計処理の明確化
    • 計上可能な引当金の種類、見積方法、会計処理の明確化

 

  • 渇水準備引当金(積立金)の廃止
    • 渇水準備引当金(積立金)の既計上額の取崩し

 

  • 国庫納付額の算定の運用ルールの明確化
    • 売電収入を充当できる土地改良施設維持管理費の範囲の明確化
    • 土地改良区会計基準による国庫納付額の算定(現状は土地改良区会計基準とはなっていない)
    • 国庫納付額の算定結果の定期的な報告

 

会計検査院は、今回このような事態が生じたのは、土地改良区の理解が不足していることが原因ではあるが、農林水産省が土地改良区の発電事業に係る運営状況を適時適切に把握していないことが原因でもあるとしており、今後、国庫納付額の算定は厳密に、かつ、定期的(少なくとも毎年)に土地改良区から農林水産省へ報告させる運用になることが想定されます。

 

 

<編集後記>

冒頭の写真は、先月行った北海道美瑛町のぜるぶの丘の写真です。初めて行きましたが、本当にきれいでした。他にも、青い池や、四季彩の丘にも行きました。外国人観光客ばかりでまるで外国にいるようでした。。。

先日9月6日の北海道胆振東部地震では、このあたりは大丈夫だったのでしょうか。。。

実家の函館では、一日停電があっただけで済んだようですが、震源地近くはまだまだ復興まで時間がかかりそうですね。