所得税確定申告無料相談会の活用方法
皆さん、所得税の確定申告書の提出は終わりましたか?
船橋市では、平成30年分の確定申告について、以下の日程で税理士による確定申告無料相談会が開催されました。
- フェイスビル(平成31年2月6日〜2月8日)
- 高根台公民館(平成31年2月13日〜2月14日)
- 船橋市役所(平成31年2月18日〜2月25日(土日除く))
私は、上記日程のうち、2月6日(フェイスビル)、2月22日(船橋市役所)、2月25日(船橋市役所)に無料相談員として参加しましたが、相変わらずの大混雑で、来場された方は確定申告書を提出するためにほぼ丸一日が潰れてしまい、大変な思いをされたのではないかと思います。
そこで、今回3日間無料相談員として対応した結果を踏まえ、私なりに確定申告無料相談会の活用方法について考えてみました。
今年(平成30年分)の税理士による確定申告無料相談会はすでに終了してしまいましたが、来年以降の確定申告無料相談会をどのように活用するか、皆様の検討の一助になれば幸いです。
なお、あくまで船橋市での確定申告無料相談会の内容を元に記載しておりますので、他の市区町村で同様の内容とは限りません。
確定申告無料相談会で対応できる内容と対応できない内容
まず、税理士による確定申告無料相談会で、どのような相談に対応可能なのか整理しておきます。
確定申告無料相談会で対応できる内容
確定申告無料相談会で対応可能な内容は、次の通りです。(なお、後で述べる対応できない内容は除きます。)
- 所得税の制度の不明点についての相談
- 確定申告書の記載方法についての相談
- 確定申告書の作成と提出
- 申告用紙に手書きで記入し提出
- e-Taxで電子申告
なお、確定申告無料相談会の受付の対象者は、所得が300万円以下の小規模納税者(年金受給者、給与所得者)とのことです。
会場についたら整理券と受付票が渡されます。順番が来たら、空いている税理士のところまで案内され、上記の対応を行います。
相談のみで帰っても構いませんし、その場で確定申告書を作成し提出することも可能です。
確定申告書は、手書きで作成して提出するか、e-Taxにより電子申告で提出することが可能です。いずれもその場での提出が可能です。
税理士は、同時に相談者2名の方を対応することが多いので、つきっきりでの対応はなかなか難しいです。
また、確定申告書を手書きで作成して提出する場合、確定申告書はご自身で記載して頂きます。税理士が代わりに記載したり、計算することはありません。
あくまで税理士に相談しながら、ご自身で作成して頂くことになっています。
確定申告書をe-Taxにより電子申告で提出する場合は、税理士が確定申告書の作成に必要な資料を拝見し整理した後、パソコンコーナーに案内され、専任のオペレーターの方と一緒に確定申告書を作成して頂きます。(パソコンが苦手な方はオペレーターの方が入力してくれます。)
手書きによる確定申告書の作成は面倒なので、私のところにいらっしゃった方にはできるだけパソコンで確定申告書を作成し、e-Taxにより電子申告で提出する方法をお勧めするようにしていました。
確定申告無料相談会で対応できない内容
次のような相談は確定申告無料相談会では対応できないことになっています。(あくまで平成30年分の内容です。)
- 譲渡所得(土地、建物、株式などを売った場合)
- 贈与税(モノをタダであげた場合)
- 住宅ローン控除(新規に受ける場合)
- その他複雑な取引(ビットコイン、FXなど)
- 船橋市が納税地でない方
上記について、受付の段階で案内しているようですが、中にはすり抜けて入ってしまう方がいらっしゃるようです。その場合、やっと自分に順番が回ってきても結局は担当の税理士から対応できないと言われますで注意が必要です。(待ち時間が全てムダになります。)
また、事業所得や不動産所得の方で、青色申告決算書や収支内訳書等を全く作成しないで来場される方もいらっしゃいました。
このような方は受付を断られることはありませんが、更に時間がかかります。(上述の通り、あくまでご自身で集計・記入して頂くことになりますので、その場合は一旦清書コーナーなどで集計してからの相談になります。)
また、医療費の集計も同様です。全く集計せずに、ただ領収書だけを持ってこられる方もいらっしゃいましたが、こちらでは集計はしません。ご自身で集計し、医療費の明細書も作成した上で来場して頂く必要があります。
確定申告無料相談会の混雑具合
確定申告無料相談会の受付時間は9:30〜15:30でしたが、税理士は8:45集合で、このタイミングですでに大行列です。(高根台公民館は対応経験が無いのでわかりませんが、恐らく同様だと思われます。)
最終日の2月25日に、午前中に相談にいらっしゃったある方に待ち時間を伺ったところ、2時間ほど待ったということでした。(人によってそれぞれですので、平均2時間という訳ではありません。)
混雑の時間帯は、いずれも午前中はかなり混んでいるという印象ですが、お昼すぎくらいになると、徐々に混雑が緩和されてきます。ただし、来場者があまりにも多い場合は、15時半よりも前に受付が終了してしまうこともあるので注意が必要です。
混雑する日程は、あくまで私が対応した日程での印象ですが、初日の2月6日のフェイスビル(かなり早い段階で受付が終了)、最終日の2月25日の船橋市役所(行列が受付終了時間近くまで途切れなかった)は、大変混雑していた印象です。最終日の前の2月22日は、午前中は混雑していましたが、お昼すぎからかなり空いてきた印象で、ほとんど待たずに済んだのではないかと思います。
従って、初日と最終日は避けた方が良いかもしれません。
確定申告無料相談会を上手に活用するために
確定申告無料相談会で少しでもストレスなく、早く確定申告書の作成・提出を終わらせるためにどうするべきでしょうか。
実際に相談員として対応した結果を元に整理してみました。少しでも参考にして頂ければ幸いです。
必要な資料を整理してから来場する
給与所得の源泉徴収票や公的年金等の源泉徴収票、報酬・料金等の支払調書などの収入を証明する書類や、国民健康保険料・介護保険料・後期高齢者医療保険料などの支払額が把握できる書類など、必要な書類を必ず確認し、整理してから来場する必要があります。
今回私が対応した中で実際にあったケースとしては、国民健康保険料や介護保険料の支払額が分からず、市役所の窓口に支払証明書を取りに行ってもらったり、源泉徴収票を忘れて出直して頂いたということがありました。
昨年の確定申告書を確認し、どのような資料を使ったのか確認する、予め確定申告に必要な資料を調べておくなどして、必要な資料を整理しておくとスムーズに確定申告書が作成できます。
確定申告書を予め作成した上で来場する
確定申告書の下書きを予め作成した上で来場される方は、資料だけ持ってきてその場で確定申告書を作成しようとされる方よりも確実に早く終わります。
完全に作成できなくても、例えばわかる部分だけ記入しておく、確定申告書の添付書類(源泉徴収票、生命保険料控除証明書など)をあらかじめ整理し、台紙に貼っておくなど、できるところだけでも事前に作成しておくと、スムーズに進みます。
また、不動産所得や事業所得がある方は、収支内訳書や青色申告決算書は必ず作成した上で来場して頂く必要があります。
同様に、医療費も事前に集計した上で来場して頂く必要があります。
分からないところだけ聞いて、持ち帰る
分からない部分のみを聞いて、持ち帰るのも一つの方法です。午後など空いている時間帯を見計らって来場頂き、聞きたいことだけ聞いて(上述した確定申告無料相談会で対応できない内容は除きます。)、後はご自身で確定申告書を作成し提出する方法です。
この場合の確定申告書の作成・提出方法の例は、次の通りです。。
- 手書きで確定申告書を作成し、税務署へ郵送又は持参して提出する。
- 国税庁の確定申告書作成コーナーで確定申告書を作成し、確定申告書を印刷して税務署へ郵送又は持参して提出する。
- 国税庁の確定申告書作成コーナーで確定申告書を作成し、そのまま電子申告する。(e-Tax)
本当に確定申告会場に行く必要がありますか? 〜そもそも確定申告無料相談会を利用しない〜
究極の選択肢は、確定申告会場に行かずに、確定申告書を提出してしまうことです。
実際に、確定申告無料相談会の対応をしていると、毎年の所得の内容が変わらない方が多いです。
相談にいらっしゃった時点で確定申告書がすでに完成しており、内容を拝見しても問題ない方も多く、そのような方がわざわざ確定申告無料相談会で大変な思いをして提出する必要があるのかな?と思います。
少なくとも、確定申告書の書き方はある程度理解できていて(もしくはあまり理解はできていなくても手引きなどを見ながら作成できる)、収入や所得控除の内容が毎年同じような方は、ご自身で作成した確定申告書を確定申告会場に持ち込まずに、そのまま税務署へ郵送により、又はe-Taxにより電子申告で提出してしまって良いのではないでしょうか。
今は国税庁の確定申告書等作成コーナーを使って無料で確定申告書の作成ができますし、平成31年1月からは、ID・パスワード方式での電子申告もできるようになっており、自力で確定申告書を作成することが容易になってきています。
※国税庁の確定申告書作成コーナーを使った確定申告書の作成方法は、次の記事で紹介しています。
確定申告無料相談会は、たまたま今年はいつもと違う内容が出てきて不安、といった場合にピンポイントで活用するのが良いと思います。